高齢者と薬

年齢と共に身体のあらゆる働きは自然に衰えていきます。
病気の数や回数も多くなりますし、薬を服用する機会も増えます。

おおよそ60〜70歳の方は、1人で4〜5種類の薬を服用し、
疾患の数が増えるにつれ、服用する薬の数や種類も必然的に、
多くなっていきます。
年齢と共に身体のあらゆる働きは自然に衰えていきます。

≪ 機能低下でリスク発生!≫

身体の機能が低下した高齢者が薬を服用するということは、
若年成人の健常者に比べて、身体への負担が大きくなり、
副作用などのリスクも発生します。

目や耳の機能低下!

最も顕著に表れるのが、視力や聴力の低下です。
高齢者特有の眼の疾患(例えば白内障)も増えます。
目が見えにくくなることで、
薬を間違えたりすることはよくあるケースです。
聴力も同様で、老人性の難聴は自然なことなですが、
薬の服用方法を間違えて聴いてしまうといったことも、
考えられます。
ご家族の方が十分注意してあげてください。

肝臓の機能低下!

肝臓は、年齢と共にその容積も小さくなりますし、
肝臓に流れる血液量も減少してきます。
また肝臓の中の酵素の働きも低下してくることが知られています。
したがって、成人と同量の薬が投与されると、なかなか代謝されず、
強く効きすぎたり、副作用がでてくることがあります。
このように薬の代謝は、主に肝臓で行われますので、
肝臓の機能低下は、薬の効果や副作用に大きく作用します。

腎臓の機能低下!

排泄をつかさどっている腎臓も、年齢と共にその細胞数が少なくなり、
腎臓に送られる血液量も減少していきます。
すると、薬はなかなか体外に出なくなりますので、
効き目が強くなりすぎたり、長く続いたり、副作用が現れたり、
することがあります。

水分、タンパク量の減少!

年齢と共に皮膚の艶や弾力は失われていきますが、
これは体内の水分量が影響しています。
体の水分量は加齢と共に減少し、その代わりに脂肪が増えてくるのです。
ですから脂肪との相性が良い薬は、身体の中に蓄積しやすくなり、
効果が強く現れたり、副作用が起こる原因にもなります。

また、タンパクの量も年齢と共に減少していきますので、
タンパクとの相性が良い薬を成人と同量に投与すると、
タンパク量の減った高齢者では、遊離の薬の量が増えて、
これも効果が強く現れたり、副作用が起こる原因となります。

≪ 高齢者が薬を飲む上での注意点とアドバイス!≫

高齢者にとって一番大切なこと!

一番大切なことは、医師や薬剤師とコミュニケーションを良くとって、
その人に最適な薬の種類、数量、期間を考慮してもらうことです。
医師にいろいろ聞いては悪いなどと全く考える必要はありません。
むしろ、自分自身の状態を詳しく医師に伝えることが肝心なのです。
正確に伝えるようにしましょう。

本人が説明不能などの場合は、必ず家族のサポートが肝心です。
医師が処方した薬は、飲まなければ効果が得られませんので、
きちんと服薬するための介助など、周囲の方の協力が必要となります。
最近の医療は、投薬時に説明がなされるようになってきましたが、
薬をもらった時には、ぜひ次のことを医師か薬剤師に確認をしましょう。

●薬の名前と効き目!
●薬は、いつ、どうして、どのくらいの期間、飲むのか?
●他の薬と併用して飲んでいいのか?
●食べ物や日常生活に気を付けることはないのか?など…

飲みにくい薬があったら!

剤形によっては飲みにくいものもあるため、
どうしても飲みにくいということであれば、医師や薬剤師に相談して、
飲みやすい薬に替えてもらうなどの配慮も必要です。
例えば入れ歯の人は、顆粒剤は飲みにくいものです。
つぶつぶが歯の間に挟まって痛いのです。
こんな時は相談してみて下さい。

一般的には、錠剤が最も飲みやすい剤型と考えられますが、
中には、一粒の直径が1pを超える大きな錠剤もありますので、
飲めない場合は、二つに分割して飲むなどの工夫が必要になります。

また、一日に数回飲まなければいけない薬もありますが、
一日一回で良い薬も増えています。
一日に数回飲むことが煩雑で忘れやすい時は、
一日一回の薬に変えてもらうことが可能かどうか相談してみて下さい。

薬を飲む時のポイント!

内服する薬は、胃でまず溶けなければ話が始まりません。
薬を飲む時には、コップ一杯くらいの水でしっかり飲みましょう。
飲んで直ぐに横にならないことが大切ですから、
寝たきりのお年寄りには、特に注意が必要になります。
飲み薬を飲ませてあげる時は、
できるだけ座った状態で飲ませてあげるようにしましょう。

寝たままで服用させると食道につかえたり、
胃に到達しないまま溶け出て薬の効果が半減してしまうことがあります。
刺激のある薬ですと、それが元で炎症が起きたり、
潰瘍になったりすることもありますので、十分に気をつけることです。

しかし、夜に飲む薬で水をたくさん飲みすぎると、
トイレの近い高齢者は、頻繁にトイレに行くことになりかねません。
いずれにしても、寝る直前に薬を飲むことは避けた方が良いでしょう。